時給1200円のバイトで得た、180万溶かした僕に足りなかった「確かな感覚」

前回の記事で、僕が投機的副業で借金250万円を背負った惨めな告白をした。だが、告白だけでは人生は1ミリも前に進まない。再起への第一歩として、僕は休日にスポットバイトを始めることにした。正直に言えば、プライドが邪魔をしなかったわけではない。しかし、今の僕には行動が必要だった。これは、僕が「時給1200円」の労働で、失った大金以上の価値あるものを手に入れた、その記録だ。

朝4時起き、往復4時間の現場へ

僕が選んだのは、新築マンションの内装検査という仕事だった。壁紙の傷や、ドアの不具合、電気設備の動作などをチェックリストに沿って確認していく、根気のいる作業だ。

勤務時間は朝8時から夕方までの8時間。うち1時間の昼休憩は無給なので、実働は7時間。時給は1200円なので、その日の報酬は8,400円になる計算だ。しかし、その仕事を得るための対価は、決して楽なものではなかった。現場は自宅から高速を使って車で2時間。集合時間に間に合わせるためには、朝4時には起きなければならない。

現場作業員の方々と一緒に朝礼に出て、点呼を受け、体操をする。会社員である僕にとっては、何もかもが新鮮で、そして少しだけ気まずい、そんな始まりだった。

バイナリーにはなかった「確かな達成感」

仕事内容は、想像以上にやりがいがあった。自分の目で傷や不具合を見つけ出し、それがリストに書き込まれていく。一つ一つのチェックが、これからここに住む人の快適な生活に繋がっていく。そう思うと、自然と集中力も高まった。

そして、その日の全ての作業を終え、現場を後にする時の、あの清々しい疲労感と達成感。これは、バイナリーオプションの画面を睨みつけ、一瞬の値動きに精神をすり減らしていた頃には、決して味わうことのできなかった感覚だった。

もちろん、本業をしながら毎週これを続けるのは体力的に厳しいだろう。「これは単発でしかできないな」というのが正直な感想だ。だが、それでもこの経験は、僕に重要なことを教えてくれた。

16,800円の報酬がくれた「絶対的な安心感」

土日の2日間、僕は合計16,800円を稼いだ。 バイナリーオプションで熱くなっていた頃の僕なら、この金額を数分で溶かすことも、逆に数分で稼ごうとすることもあっただろう。

だが、この16,800円の価値は、全く違う。

その時勝っても、次のエントリーで全てが吹き飛ぶかもしれないという、常に不安が付きまとう投機の世界。それとは違い、自分の時間と労働力を提供し、その対価として確実に得られる報酬。 この「絶対的な安心感」は、これほどまでに人の心を穏やかにするものなのかと、僕は心の底から思い知らされた。

この16,800円は、僕が失った250万円を取り戻すには、あまりに小さな金額かもしれない。しかし、これは僕の再起の物語における、何よりも尊い「最初の軍資金」なのだ。

まとめ:失ったものを取り戻す、最初の一歩

僕は、この週末の労働で、単なるお金以上のものを手に入れた。それは、地に足をつけて働くことの価値と、確実なものだけを積み上げていくことの大切さだ。

もし、あなたが過去の僕と同じように、不確実なものに精神をすり減らしているなら、一度、全く違う世界に飛び込んでみることをお勧めする。たった1日の労働が、あなたの価値観を大きく変えるきっかけになるかもしれないのだから。

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